老化のメカニズム
Mechanism of aging
なぜ老けるのか?
老化の要因となるパーツ
老化のメカニズムを知る必要性
「なぜ老けるのか」を正しく理解することは、実はエイジングケアを行う上でとても重要です。しみ・しわ・たるみなどの老化現象が現れる過程を正しく知る人は少なく、自己ケアで食い止めようとしても、効果は期待通りには出ていないはず。
たとえば、気になる法令線。「シワ」だと思い、シワに効きそうな商品を使ってみたけれど、殆ど改善されていない。その根本原因は、下がった頬の「たるみ」だからです。
たとえば、目尻のシワ。笑いジワなんて言うけれど、保湿で改善されるかな?期待を込めてケアしても、改善されることはないのです。1日に何度も動く表情筋を止めない限り、そのシワはどんどん深くなるでしょう。
たとえば、顔のタルミ。ハリが無くなり、顔が縦長に見えてきた!慌てて美顔器を使っても改善はされません。その肌の奥深くで、あなたの骨と筋肉は縮まり、コラーゲンまで減少しているのですから。
老化を本気で予防・改善したいと思う方にこそ、正しく適切な対処をしていただきたい。老化の根本原因に届かないケアをしても、無駄にお金をかけた事になってしまうからです。
目に見えない老化要因を知ることで、肌内部までアプローチできる美容「医療」を知って頂き、正しいエイジングケアをしてみませんか。
長年のその悩み、たった5分で改善されるかもしれません。
老化の要因となる
パーツの変化について
皮膚
年齢を重ねるごとに機能が弱まり
老化が進んでいく
肌にはコラーゲンを産生している「線維芽細胞」と呼ばれる細胞があります。この細胞は、老化により細胞の数が減少したり、働きが弱まっていきます。するとコラーゲン産生をする力が弱くなるため、肌に変化が現れはじめます。
初期症状は「くすみ・ハリの減少」などです。徐々に血管組織も細くなってくる事も大きな要因で、皮膚を守る機能が弱まっていきます。肌を守る力が低下するという事は、保湿性が下がり乾燥が起こり、余計な油分・赤みなどが発生。
最終的には、自力で保湿をしても有効性が下がっているため効果を感じずらくなります。また、肌自体が生まれ変わる力も落ちているためダメージが蓄積してしまい、シミ・しわの原因となっていきます。
紫外線による光老化(※1)
紫外線と言われると「シミになる」と思っている方が多いですが、影響はシミだけではないのです。紫外線によるダメージを受け、シミの元となる「メラニン」ができ、蓄積されるとシミが増えたり肌がくすむのは周知の事実ですが、それだけでなく、真皮層のコラーゲン繊維が減少しコラーゲン生成機能が低下。
コラーゲンを分解する酵素も分泌されるため、弾力・ハリがなくなっていき、シワやたるみを形成する一つの要因となります。このように光のダメージと、加齢による内的要因が相まって「シミ・シワ・たるみ・乾燥」などの様々な症状の出現に影響する事を「光老化」と呼びます。
若いうちは肌のターンオーバーの頻度が2 8日周期と頻度が高く新しい肌に生まれ変わっていきますが、紫外線や加齢の影響で頻度がだんだんと下がるため、光老化の影響も蓄積されていきます。太陽にあたることはビタミンDが生成されるので大切ですが、「無防備に長時間あたらないこと」や「紫外線対策」が大切です。
できてしまったシミにはどんな対処方法があるの?
シミが出来た時にホームケアで出来る事は基本的には化粧品や薬局で購入できる範囲の内服薬が選択肢です。それで対処しきれない場合には、新たな選択肢が必要となってきます。
美容医療では、シミをレーザー照射で取り除くダイレクトな治療のほか、内服薬の処方、肌のターンオーバーを整えるピーリング治療、有効成分を肌内部に届かせるエレクトロポレーション(イオン導入)などがあります。角質層を超えた深い層にダイレクトにアプローチ出来るのが美容医療の力です。自力でのケアに限界を感じた場合の選択肢として、有効になってきます。
レーザーでシミを除去した例
皮下脂肪
皮下脂肪によりたるみだけでなく、
法令線も発生する
年齢を重ねると、顔の脂肪のボリュームが減ったり変形が起こり、皮膚のたるみが現れてきます。
額やこめかみ・頬・口周りの皮下脂肪が減ると皮膚の滑らかさが失われるため凹凸ができ、影のようになったり、老けた印象になっていきます。また、頬がこけて老けた印象に見える方がよくいらっしゃいますが、特に「頬の脂肪減少」は顕著に現れる箇所であり、脂肪減少の幅が大きいためです。よく深い法令線が出ている方がいらっしゃいますが、法令線は「シワ」だと思っている方が多い箇所です。
しかし、法令線は顔のたるみが現れて頬が下垂した結果、頬下に脂肪のボリュームが集まった事でできる凹み( 凹凸による影)である場合が多いのです。
ここで法令線を「シワ」という「線」だと思って保湿などをしても、効果は感じられないでしょう。お顔のたるみ自体を改善しなければ上手く解消できないという状況に陥ってしまうので、ご自身の法令線がたるみによって発生していないか?は大切なポイントです。できてしまった法令線を改善するには、凹み( 凹凸による影)にボリュームを足して凹凸をフラットにするか、お顔のたるみ自体を改善することなどが有効です。
減ってしまった脂肪はどうすれば良い?
加齢と共に脂肪のボリュームが減ってしまった場合にどうすれば良いのでしょうか。部分痩せが難しいように、頬のコケだけを太らせようと思ってもそれは不可能です。肌の奥深くで起こっている現象ですので、「ハリが出る・ふっくらする」化粧品というのも、「脂肪層」の減りには効かないといえます。 最も手軽な方法は、失われたボリュームを「外から追加する」ことです。例えばヒアルロン酸を注入し膨らませることや、さらに長期的な効果を狙う場合はご自身の体( 太ももなど)から脂肪を採取し移植することなどですが、昨今ではヒアルロン酸の持続期間も長期的なものが出ていますので、まずはヒアルロン酸注射などの気軽なものから試してみると良いでしょう。
ヒアルロン酸で法令線を改善した例
イメージで見る脂肪の変化
筋肉
「筋肉が原因のたるみによるシワ」とは?
筋肉は、顔にシワができる要因の一つで、「表情筋が原因のたるみによるシワ」と「表情筋の動きによるシワ」の2 種類に分かれます。
顔には3 0 種類以上の「表情筋」が存在します。表情筋は、皮膚や皮下組織を支えていますが、加齢による筋肉の萎縮が起こるため、皮膚・靭帯との間で引っ張りが起き、そして弛緩(ゆるみ)が発生します。すると重力に耐えられなくなる形で支えていた皮膚や皮下脂肪などが垂れ下がってしまいます。
その結果、「顔全体のたるみ」、「口角が下がる」、「上唇の平坦化」、「下唇の下垂」、「頸部( 首)の下垂」などが発生します。こういった「たるみ」によって、凹凸ができたり、影ができ発生するのが「表情筋が原因のたるみによるシワ」です。
表情筋が原因のたるみによるシワの例
●ゴルゴライン ●ほうれい線
●マリオネットライン ●ちりめんじわ
「表情筋の動きによるシワ」とは?
一方、「表情筋の動きによるシワ」とは表情ジワをさします。たとえば笑った時に現れる目尻のシワ。
若い頃は肌にハリがあり、そういった表情ジワはすぐ元に戻りますが、年齢を重ねる毎に弾力を失った肌に刻まれていきます。
つまり、筋肉が原因のシワのため保湿などでは改善されません。額や眉間、目尻など表情によるシワを起こす箇所は、放置し続けるとどんどんシワが濃くなり深刻な悩みと成り得てしまうため、早めの対処が大切になります。
表情筋の動きよるシワの例
●額 ●眉間 ●目尻
●顎( 梅干しのようなシワ)
靭帯
靭帯がゆるむと重力に勝てなくなる
靭帯とは、細いひも状の繊維組織のことで、顔の皮膚や表情筋を骨につないで脂肪を支える役割があります。これらの組織を支える役割をしていた靭帯ですが、老化によって緩みが発生します。( 靭帯の緩みは脂肪の変化と密接に関係しています。詳しくは前項の「皮下脂肪」についてもご覧ください)
靭帯が緩むことで各組織を支えることができなくなると重力に勝てなくなってしまいます。引っ張られるように下垂が加速し、重度のしわやたるみが発生します。
骨
加齢で骨にどんな変化が起こる?
加齢とともに顔の骨の骨密度が減少し、若いころよりも顔面の骨が小さくなります。頭蓋骨・側頭骨はくぼみ、目の周囲は拡大します。上顎の骨の縮小や後退、鼻周辺の骨の拡大、下顎の骨の縮小などを経て、老化が顔に表れるのです。
顔の骨は筋肉や皮下脂肪、皮膚を支える土台のようなものですが、骨に変化が起きることで若い頃と同様には組織を支えられず下垂を加速させ、たるみやしわを引き起こしてしまいます。3 0 代以降に骨の萎縮が進行していく場合が多いですが、その進み度合いには個人差があります。
各構造の複合的な変化によって
顔に様々な老化症状が現れます
顔に様々な老化症状が現れる
“エール”シリーズ監修医師
湘南美容グループ 皮膚科全体統括
西川 礼華 医師
Ayaka Nishikawa
2012年 | ウィーン医科大学皮膚科学教室 Clinical Elective |
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2013年 | 横浜市立大学医学部医学科 卒業 国立病院機構東京医療センター |
2015年 | ウィーン医科大学皮膚科学教室 |
2015年 | 湘南美容クリニック 入職 |
湘南美容グループ代表補佐
技術指導医
居川 和広 医師
Kazuhiro Igawa
2002年 | 札幌医科大学医学部卒業 札幌医科大学附属病院形成外科勤務 |
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2003年 | 徳洲会札幌病院勤務 |
2004年 | 札幌医科大学附属病院形成外科勤務 |
2005年 | 市立室蘭総合病院形成外科勤務 |
2006年 | 湘南美容クリニック勤務 |
2014年 | SBCメディカルグループ 副総括院長に就任 |